富岡八幡宮で開催された禮典研究會の例会にて賀来宏和が講演しました
令和6年3月30日(土)、禮典研究會の例会が東京都江東区の富岡八幡宮で開催され、「延喜式内社の巡拝から社(もり)の明日を語る」と題して、賀来宏和がお話ししました。
國學院大學名誉教授で古宮神社宮司の茂木貞純先生が会長を務める禮典研究會の例会でお話する機会をいただきました。講演の前に、まずは参加者一同での正式参拝、賀来宏和も、会長の茂木先生とともに玉串奉奠いたしました。
講演では、まず「社(もり)を巡る」と題し、2861社・3132座の式内社巡拝の奮闘と、そこで見た往古の人々の祈りや式内社に残された災禍の記憶などを語り、続いて「巡拝から見える社(もり)の課題」として、人・森・歴史の3つの側面から社(もり)の課題を整理、さらに「新地縁社会や人類文明と社(もり)の役割」として、人口減少社会・日本の未来、際限のない人類の欲望と地球の限界性についてお話しし、改めてわが国における社(もり)を核とする "とも生みの場" "社稷共同体" 創造の必要性を述べました。締めくくりでは、「明日の社(もり)を目指して」として、神社=社(もり)の存在意義に改めて光を当て、過去を現在につなぐかけがえのないものとして活用することを訴え、来場の皆様の賛意をいただきました。
この国の人々が、場所によっては数千年来の祈りを捧げて来た社(もり)が、戦後の思潮と経済合理性がもたらす一極集中とその反動としての過疎化などによって、正しく継承や伝承されることもなく、今まさに消えようとしています。「御成敗式目」の第一条にある言葉、「神は人の敬によりて威を増し、人は神の徳によりて運を添う」。人々が伝えてきたこの「敬」の襷が途切れることを危惧します。
会場の富岡八幡宮の境内には、下總の偉人伊能忠敬翁の銅像があります。伊能忠敬翁は全国の測量のため江戸を出立する度に富岡八幡宮を参拝していたとのことで、郷土の偉人の後半生をかけた偉業と、都度の参拝の行いに、尊敬の念を新たにしました。